研究概要 |
今年度において,ヘルムホルツ分解定理に基づく静止画像の回転構造および発散構造の検出を実現した.回転構造は,台風の画像のように人間が見て回転することがわかるもので,発散構造は,花火の画像のように,ある1点を中心に外側に広がることがわかるものである.ヘルムホルツ分解定理は,動きを回転成分と発散成分に分解可能だが,2枚の連続した画像が必要であり,1枚しかない静止画像に適用できなかった.そこで提案手法では,静止画像と動きの性質に基づき,新たな指標を導入した.ここで,静止画像と動きの性質とは,(i)エッジ領域において動きと輝度勾配が直交すること,(ii)平坦領域では動きが存在しないことである.これらの回転成分および発散成分から構成される動きと静止画像の性質を利用することにより,静止画像の回転構造および発散構造の検出を可能とした.これまで,静止画像の回転構造および発散構造の検出は実現されておらず,これを可能とする私の研究は独創的であるといえる.また,この成果を画像処理の分野において世界最大規模の国際会議であるICIP 2008(IEEE International Conference on Image Processing)で発表した.さらに,このとき得られた知見から,ヘルムホルツ分解定理に基づく動画像のフロー推定法を検討し,信号処理の分野において世界最大規模の国際会議であるICASSP 2009(IEEE International Conference on Acoustics,Speech,and Signal Processing)に採録されている.
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