研究概要 |
これまで開発してきたCIP法による磁気圏グローバルMHDシミュレーションモデルの検証・特性の理解をするため、他モデルとの比較を行った。比較に用いたモデルは、すでに多くの実績を有する、modified leapfrog (MLF)法をベースとしたもの(Ogino et al., IEEE TPS, 1992)である。両モデルを用いて、太陽風条件、空間解像度(グリッド数)を揃え、結果の直接比較を行った。このような磁気圏モデルの直接比較の試みは、世界で初めてになる。 まず、北向きIMF時における磁気圏応答についての比較を行った。用いた太陽風パラメタは、Bz=+5nT,N=5/cc,T=2x10^5K, Vx=300km/sであり、空間解像度は1dh=0.3R_Eである。その結果、両モデルにおいて閉じた磁気圏構造が再現された。磁気圏境界は、subsolar pointでX=10R_E、terminatorでX=15R_Eに位置し、両モデルにおいて良い一致が得られた。一方で、衝撃波の形状、位置(CIP法:X=15.5R_E、MLF法:X=14R_E)に顕著な違いが見られた。また、衝撃波下流における物理量も、CIP法ではMLF法に比べて圧力が小さく磁場が強い傾向にあることが明らかになった。 以上の結果から、有限差分法をベースとしたモデルでは衝撃波の取り扱いに違いがあるため、結果に顕著な差が生じることが明らかになった。したがって、モデルの妥当性を検証するためには、衝撃波捕捉法をベースとしたモデルとの直接比較が必要であるとの結論を得た。今後は、HLLD法をベースとした磁気圏モデルの結果も加え、南向きIMF時の計算も含めて検証を行う予定である。
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