申請者らはすでにEpstein-Barr virus(EBV)遺伝子産物LMP1によるNF-κB活性化をSTAP-2が抑制することを明らかとしている。さらに、STAP-2がLMP1によるNF-κB活性化に必須のC末ドメインCTAR1およびCTAR2のシグナルを抑制することを見出しており、本年度はその分子メカニズムの解析に重点をおき、以下の項目の研究を中心に進めた。 1.CTAR1/NF-κBシグナル抑制メカニズムの解析 CTAR1下流でTRAF3がLMP1にこよるNF-κB活性化シグナルを負に制御することを明らかとした。また、その抑制メカニズムとしてSTAP-2がTRAF3をLMP1ヘリクルートすることを明らかとした。 2.CTAR2/NF-κBシグナル抑制メカニズムの解析 CTAR2下流シグナル伝達分子TRAF6、TRADDのノックダウンによりLMP1によるNF-κB活性化が減弱したことから、CTAR2下流でのNF-κB活性化調節にはTRAF6、TRADDの関与が考えられた。そこで、これらの分子とSTAP-2との相互作用解析を行った。その結果、LMP1との結合において、STAP-2がTRADDと競合することにより、LMP1によるNF-κB活性化を抑制することを明らかとした。 3.STAP-2欠損細胞におけるLMP1/NF-kBシグナルの解析 STAP-2ノックアウトマウス由来胎児繊維芽細胞MEFでは、野生型と比べLMP1によるNF-κB活性化が亢進しており、LMP1誘導性の細胞増殖も亢進した。より生理的条件に近い細胞においてもSTAP-2がLMP1によるNF-κB活性化を抑制することを明らかとした。
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