本研究課題における「テンプレートとしてのDNA二重鎖」をさらに拡張するため、DNA Origamiの基礎となる考え方を初めて提示したHarvard大学William Shih博士のもとに渡航した。DNAナノ構造体の設計・構築・観察手法等の様々な技術・ノウハウを学ぶとともに、自身の研究課題との融合・発展を試みた。まず、DNA Origamiの技術・手法を学ぶ一環として、3D DNA Origamiに基づいたタンパク質アレイの構築に取り組んだ。Square latticeを基本骨格とし、二種のナノ構造体を設計した。一つは、その中心部にターゲットたんぱく質としてのActin四量体の外形にフィットするよう設計されたCavity部を有する構造を持つ。もう一方は、よい対象実験となりうるRaft構造である。これらのDNA Origamiの設計を行い、それぞれの構造に対応するStrand diagramを得た。これにより生成される一連のStaple strandsと、Scaffold strandとしてのCircular single-stranded DNAを混ぜ合わせ、適切なアニーリングプロセスを経ることで、二種の構造体のFoldingを行った。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたナノ構造体観測の結果、そのマイクログラフ上でモデリングにて設計したCage、Raft構造ともにWell-foldされていることを明らかにした。その次元の長さは当初の設計と首尾一貫するものであった。また、Actinのオリゴヌクレオチドラベル化を行った。これは、上述のナノ構造体上へのActinの配置の際に、オリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションによりそれを達成しようとするものである。Actinのための非変性ゲル電気泳動条件のもとで、ラベル化反応の評価を行った。その結果、40%の収率でオリゴラベル化が達成されていることを明らかにした。また、ラベル化されたアクチンのPolymerization activityはTEMを用いることで評価し、多数のフィラメント状態を観測する事ができた。
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