研究概要 |
本研究は,植物のオイルボディに局在する膜タンパク質ファミリーの解析を行うことで,オイルボディが担う様々な生命現象の解明することを目的としている. オレオシンの研究を進める中で,オレオシン1(OLE1)をバイオツールとして使用する方法を確立した.従来の薬剤による形質転換体選抜法の欠点を克服した形質転換シロイヌナズナ作製法をFAST法(Fluorescence-Accumulating-Seed Technology法)と命名し,10種類のFASTベクターを作製した.FAST法では,OLE1-GFPを選抜マーカーとして用いる.実体顕微鏡下でOLE1-GFP蛍光を発する種子を選抜することで,形質転換第一世代(T1)の種子集団からT1ヘテロ接合種子を選抜することが可能になる.さらに,形質転換第二世代(T2)の種子集団からGFP蛍光を強く発する種子を選び取ることで,T2ホモ接合種子を99%以上の確率で選抜できた.FAST法により形質転換シロイヌナズナの作製が容易になり,シロイヌナズナの基礎研究に大きく貢献できるものと考えている.この研究成果をThe Plant Journalに発表した. 葉がストレスを受けると細胞内に葉型オイルボディが形成される.葉型オイルボディ局在タンパク質であるカレオシン3(CLO3)を用い,CLO3プロモーターの下流においてCLO3とGFPの融合遺伝子をつないだコンストラクトを作製し(pCLO31::CLO3-GFP),葉型オイルボディのマーカーラインとした.葉型オイルボディの形成機構を探るために,pCLO31::CLO3-GFP植物体にEMS変異原処理を行い,葉型オイルボディが異常蓄積する変異体を4ラインを単離した.そのうちの2つについては,マッピングにより原因遺伝子を同定した.残りのラインについても引き続き原因遺伝子の同定を目指す.
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