戦略的環境アセスメント(SEA)と計画策定過程の統合手法を明らかにするため、統合による手法の有用性が高いとされる総合計画・成長管理政策の策定を事例に、策定過程の参加手法に関する現地調査を実施した。事例は、米国で最も両制度の統合が発展しているワシントン州から選定し、ピュージェットワン広域委員会の成長管理政策「VISION 2040」の策定事例とした。 まず、参加過程における各主体の関与の実態と認識を把握するため、事前調査を基に重要な関与主体を抽出し、インタビュー調査を行った。本研究では、プロセス全体のメカニズムを分析対象としていることから、プロセスの全過程で継続的に参加し九地域内の4つの郡政府と、政策の内容に対し賛成している環境団体future wiseと反対しているキットサップ地権者協会を重要な関与主体とした。 インタビュー調査では、各主体がプロセスを通じて、いつ、何を、どのように知り、それに対してどのような主張を展開したか、策定主体とどのように意思疎通を図ったか、他の参加主体との意思疎通はどのように行ったかを中心に調査を実施した。調査では1週間の現地滞在の内に、上述の6団体に対し面接を行うとともに、政策形成過程で大きな課題となった複合コミュニティー開発の現地踏査を実施した。 この結果、各質問項目に対する各調査対象主体の回答を直接得る事ができた。また、文書化された資料では確認することのできない、各主体の水面下の関与プロセスの存在が確認された。
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