研究課題
これまでに、最後通牒ゲームにおける、これまでの理論では説明できない、公平的行動に関する研究を行ってきた。具体的には、公平な人同士がペアになりやすいというAssortative Matching Ruleを用いて進化ゲーム理論の枠組みから説明を行い、結果、公平的行動がAssortative Matching Ruleの下では進化的に漸近安定であるということを示した。本年度は、この結果を論文として完成させDiscussion Paperとして公表した。またあらたに、企業間の取引ネットワークがどのように形成されるのかについての理論的研究を行った。すべての企業がすべての企業と取引可能であるという完全な市場という仮定は、ある企業と別の企業が取引関係を結ぶための費用の観点から現実的に満たされることは少ない。このような状況の下で、各企業はどのような性質をも他企業と取引関係を結ぼうとするのか、また結果として形成される取引ネットワークはどのような性質をもつのかを、特にTwo-sided Marketを対象にモデルを用いて分析した。結果次のことがわかった。取引関係を結ぶための費用を事前に互いが譲渡不可能な場合には、完全市場よりも制限された取引ネットワークが形成され、取引は非効率である。この結果は学会において報告した。また、費用を事前に互いが譲渡可能である場合については、これらからの研究課題である。
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Discussion Papers/Graduate School of Economics, Hitotsubashi University No. 2008-12
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