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2010 年度 実績報告書

日本中世を中心とする寺院生活史の研究

研究課題

研究課題/領域番号 08J02691
研究機関東京大学

研究代表者

大塚 紀弘  東京大学, 史料編纂所, 特別研究員(PD)

キーワード中世史 / 仏教史 / 対外関係史 / 日宋・日元貿易 / 仏牙舎利 / 西大寺流 / 出版 / 唐船
研究概要

第1に、日宋・日元の貿易および文化交流に関する研究を行なった。(1)日宋交流史の観点から、日本に請来され、現在も京都市内の寺院に伝わる2つの仏牙舎利の来歴と相承の過程について探った。その結果、平安後期の入宋僧を介して、仏牙信仰が北宋から日本へと展開したことが明らかになった。(2)日宋・日元貿易について、鎌倉幕府の貿易関与に注目して研究を進めた。まず源実朝渡宋説話の展開を貿易の視点から再考し、幕府による貿易使の派遣をめぐる論点を見出した。次に唐物が博多津から京都へと運ばれる過程に焦点を当て、平安後期から鎌倉前期にかけて、京都の領主と博多綱首がどのような関係を築いたかを探った。以上をふまえ、唐物が鎌倉へと運ばれる径路や貿易使の派遣を考察し、鎌倉中期から幕府が唐船による貿易に積極的に関与し始めた実態を明らかにした。
第2に、中世の律家に関する研究を行なった。(1)摂津国における律家の展開について探り、一遍が兵庫津にあった光明福寺という律院で没し、同寺の住持が、現存する一遍墓塔(石造五輪塔)の造立に関与した可能性が高いことを明らかにした。(2)かつて鎌倉極楽寺の末寺であった播磨国の報恩寺(兵庫県加古川市)に注目し、極楽寺流律家の西国への展開について探った。まず西大寺流の山陽地方への展開について確認した上で、報恩寺文書や西大寺末寺帳を基に、西大寺流や極楽寺流の播磨国への展開について考察し、後宇多上皇の協力があったことを明らかにした。また国分寺の興行などに注目し、極楽寺流がどのように西国に末寺を展開させたかを分析した。(3)鎌倉時代の南都における律法興行の実態を把握するため、仏典の出版活動について探った。その結果、西大寺流が興福寺の春日版を積極的に利用していたこと、泉涌寺のみならず、南都や鎌倉の律家でも輸入宋版を利用しており、覆宋版が刊行された可能性が高いことなどが明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 宋版一切経の輸入と受容2010

    • 著者名/発表者名
      大塚紀弘
    • 雑誌名

      鎌倉遺文研究

      巻: 25号 ページ: 42-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 一遍墓塔造立者考-時衆・律僧と兵庫津-2010

    • 著者名/発表者名
      大塚紀弘
    • 雑誌名

      ぶい&ぶい

      巻: 14号 ページ: 1-13

  • [学会発表] 中世南都の律法興行と出版活動2011

    • 著者名/発表者名
      大塚紀弘
    • 学会等名
      戒律文化研究会
    • 発表場所
      西大寺(奈良市)
    • 年月日
      2011-03-13
  • [図書] 日本の対外関係4 倭冠と「日本国王」(論文標題:東アジアのなかの鎌倉新仏教運動)2010

    • 著者名/発表者名
      荒野泰典, 他編
    • 総ページ数
      332
    • 出版者
      吉川弘文館

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公開日: 2012-07-19  

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