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2010 年度 実績報告書

イスラーム神秘主義の思想と信仰に関する宗教学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08J02853
研究機関東北大学

研究代表者

澤井 真  東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードイスラーム / ジュナイド / タバリー / 「原初の契約」 / 井筒俊彦 / クルアーン解釈
研究概要

平成22年度において、申請者はイスラームの根幹を成している聖典クルアーンが、神秘家を意味するスーフィーや初期の注釈者たちによっていかに解釈されてきたかについて取り組んだ。まず、クルアーン解釈の形成過程を理解するために、井筒俊彦の著作に基づいて、クルアーンの「話し言葉」から「書き言葉」へというテクスト化に伴う解釈の革新について理解した。こうした井筒俊彦のクルアーン解釈については、カナダ・トロント大学で開催された国際宗教学会(IAHR)で英語での研究発表を行ない、さらに、"Izutsu's Hermeneutical Perspectives of the Qur'anic Interpretation"として、英語論文が刊行された。こうした点を軸に、初期スーフィズムを代表するジュナイドと、初期のクルアーン解釈を代表するタバリーのアラビア語文献について取り組んだ。まず、ジュナイドは神と人間が最初に交わした契約とみなされている「原初の契約」(Q7:172)と呼ばれているクルアーンの一節をキーワードに、契約以前の状況を「無始の永遠」という言葉で表現した。ジュナイドを始めとする神秘家は、この神と人間が契約によって分かたれる以前の状況を、神的合一の極致とみなした。ジュナイドのアラビア語文献を読み解くことで、申請者は初期スーフィズムを代表する「原初の契約」というモチーフから彼の神秘理論を理解した。こうした内容は論文「ジュナイドの『原初の契約』におけるファナーとバカー」(『オリエント』)として掲載され、日本宗教学会、日本オリエント学会の場で研究発表が行なわれた。さらにタバリーに関して、この「原初の契約」についての解釈は、運命論やこの契約が交わされたときの状況について預言者ムハンマドや彼の教友たちが話した伝承(ハディース)を伴う形で行なわれていた。また、この一節をめぐって、イスラームの死生観と関わる議論がなされている。この点については、論文「イスラームの死生観-タバリーのクルアーン解釈における二つの生と二つの死-」として刊行された。また、タバリーのクルアーン解釈の方法や問題意識についても、印度学宗教学会や研究会などで発表を行なった。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ジュナイドの『原初の契約』におけるファナーとバカー2011

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 54/2 ページ: 115-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 並行セッション8B Emerging Approaches to the Phenomena around Sufism and Saint Veneration(イスラーム地域研究 京都国際会議レポート)2011

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 雑誌名

      イスラーム地域研究ジャーナル

      巻: 3 ページ: 136-137

  • [雑誌論文] イスラームの死生観-タバリーのクルアーン解釈における二つの生と二つの死-2010

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 雑誌名

      東北宗教学

      巻: 5(印刷中(掲載確定))

    • 査読あり
  • [学会発表] タバリーのタフスィールにおける生と死-初期クルアーン解釈における伝承(ハディース)の役割2011

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 学会等名
      スーフィー・聖者研究会2011年度ワークショップ
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2011-03-02
  • [学会発表] ジュナイドの「原初の契約」とその意味2010

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 学会等名
      日本オリエント学会第52回学術大会
    • 発表場所
      国士舘大学
    • 年月日
      2010-11-07
  • [学会発表] ジュナイドの神秘主義と「原初の契約」2010

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 学会等名
      日本宗教学会第69回学術大会
    • 発表場所
      東洋大学
    • 年月日
      2010-09-05
  • [学会発表] The Concept "din" and Its Meaning in Religious Studies : Toshihiko Izutsu's Interpretation2010

    • 著者名/発表者名
      Makoto, Sawai
    • 学会等名
      The 20th World Congress of the Association for the History of Religions
    • 発表場所
      Canada : University of Toronto
    • 年月日
      2010-08-19
  • [学会発表] イスラームにおける「原初の契約」2010

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 学会等名
      印度学宗教学会第53回学術大会
    • 発表場所
      大阪国際大学
    • 年月日
      2010-05-30
  • [図書] 持続型生存基盤論グロッサリー(「エキュメニズム」ほか宗教学の31項目)(東長靖・石坂晋也編)2011

    • 著者名/発表者名
      澤井真
    • 出版者
      京都大学東南アジア研究所(印刷中)
  • [図書] Izutsu's Hermeneutical Perspectives of the Qur'anic Interpretation, Anis Malik Thoha ed., Japanese Contribution of Islamic Studies: The Legacy of Toshihiko Izutsu Interpreted2010

    • 著者名/発表者名
      Makoto, Sawai
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      Kuala Lumpur : IIUM Press

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公開日: 2012-07-19  

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