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2009 年度 実績報告書

プロトン駆動型べん毛モータの動態の光ナノ計測と分子シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 08J03125
研究機関大阪大学

研究代表者

中村 修一  大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードべん毛モーター / 分子モーター / 1分子計測 / ビーズ法 / プロトン駆動力 / サルモネラ / 動力学的モデル / トルク
研究概要

1.べん毛モーター固定子蛋白質MotA Pro-173の機能解析
運動性細菌は、細胞膜に埋まって存在するべん毛モーターを回転させることにより、モーターに連結するべん毛繊維をスクリューのように回転させて泳ぐ。べん毛モーターはプロトンの電気化学的ポテンシャル差を回転力に変換することが知られているが、詳しい作動機構は明らかにされていない。本研究では、細菌べん毛モーターの作動機構を解明することを目的として、サルモネラ菌べん毛モーターの固定子蛋白質MotAのPro-173がAlaに変異したことにより機能が低下した、変異型べん毛モーター(P173A)について、光学顕微鏡を用いた一分子計測法による出力特性解析を行なった。直径0.1-2.0μmのポリスチレンビーズをべん毛繊維に付着させ、ビーズの位置変化をフォトダイオードや高速度CCDカメラで検出する、ビーズ法と呼ばれる手法を用いて、モーターの回転速度とトルクを求めた。その結果、P173Aモーターは野生型と同等のトルクを発生できるが、野生型に比べてプロトンの透過活性が著しく低下していることが分かった。P173Aモーターの出力特性を、動力学的モデルを用いて再現することにより、MotAのPro-173を中心とした固定子蛋白質の構造変化がプロトンの透過反応を促進しており、P173Aの変異によって正常なプロトン透過が阻害されたことが分かった。本研究の結果は、プロトン流とモーター蛋白質のダイナミクスの共役を明らかにした点で重要である。
2.エレクトロローテション
本研究では、高周波の回転電場中でビーズ法を行なう手法を確立した。電場の周波数や溶液導電率等を考慮した条件検討により、べん毛繊維に付着させたビーズに電場強度依存的な外部トルクを与えることに成功した。今後、この手法を用いることで、これまで以上に広範かつ多様な条件での出力解析が可能になると期待できる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Role of a Conserved Prolyl Residue(Pro-173)of MotA in the Mechanochemical Reaction Cycle of the Proton-Driven Flagellar Motor of Salmonella2009

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, S., etal
    • 雑誌名

      J.Mol.Biol. 393

      ページ: 300-307

    • 査読あり
  • [学会発表] Forward and backward stepping rotation by proton-driven bacterial flagellar motor2010

    • 著者名/発表者名
      中村修一, etal
    • 学会等名
      Gordon Research Conference on Sensory Transduction in Microorganisms
    • 発表場所
      Ventura Beach Marriott, USA
    • 年月日
      20100227-20100228
  • [学会発表] サルモネラ菌のプロトン駆動型べん毛モーターで検出された順回転および逆回転のステップ動作. Forward and backward stepping rotation by proton-driven flagellar motor of Salmonella2010

    • 著者名/発表者名
      中村修一
    • 学会等名
      2009年度べん毛研究交流会
    • 発表場所
      三谷温泉 松風園
    • 年月日
      2010-03-15
  • [学会発表] プロトン駆動型細菌べん毛モーターの出力特性の解析2009

    • 著者名/発表者名
      中村修一
    • 学会等名
      2009おおさか研究会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      20090927-20090928
  • [学会発表] 一方向回転変異を持つFliGの構造から推測されるべん毛の回転方向制御機構2009

    • 著者名/発表者名
      今田勝巳, etal
    • 学会等名
      特定領域研究「生体超分子の構造形成と機能制御の原子機構」第6回公開シンポジウム
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2009-12-02
  • [学会発表] プロトン駆動型細菌べん毛モーターのトルク発生における固定子蛋白質MotA Pro-173の機能解析. Role of a conserved proline residue, Pro-173, of MotA in the mechanochemical reaction cycle of proton-driven bacterial flagellar motor2009

    • 著者名/発表者名
      中村修一, etal
    • 学会等名
      日本生物物理学会第47回年会
    • 発表場所
      アスティとくしま/徳島文理大学
    • 年月日
      2009-10-31
  • [学会発表] Forward and Backward Stepping Rotation by Proton-Driven Bacterial Flagellar Motor2009

    • 著者名/発表者名
      中村修一, etal
    • 学会等名
      International Symposium "Innovative Nanoscience of Supermolecular Motor Proteins Working in Biomembranes"
    • 発表場所
      Shirankaikan 京都大学
    • 年月日
      2009-09-08
  • [備考]

    • URL

      http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jp/labo/02/

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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