研究概要 |
(1)高脂血症および高血圧対策米の開発 血清コレステロール値低下作用を有するラクトスタチンペプチド(IIAEK)および高血圧低下作用を有するノボキニンペプチド(RPLKPW)を可食部に集積させた生活習慣病予防米の開発を進めた.組換えイネ作出には,イネゲノム由来の選抜マーカー遺伝子(mALS)を用い,宿主はコシヒカリ系統を用いた. 6および12連結したラクトスタチンを種子貯蔵タンパク質(グルテリン)との融合タンパク質として発現させるタイプと,24および36連結したラクトスクチンに小胞体係留シグナルを付加して直接発現させるタイプの組換えイネを作製した.現在マウスを用いたラクトスタチン蓄積米の血清コレステロール低下能を調査する準備を進めている. ラクトスタチンと同様に,グルテリン融合型(1-4つのノボキニンを含む)と直接発現型(18連結)を用いたノボキニン蓄積米の作出を進めた.グルテリン融合型では導入遺伝子が効率良く発現し,高蓄積系統が容易に選抜できた.一方,直接発現型では高蓄積系統は得られなかった. (2)低アレルゲン米の開発 予備実験として,チオレドキシン(Trx h)を導入することで,主要なアレルゲンタンパク質であるRAG1を低下させたイネ系統を,所属研究室において独自に開発したRNA発現抑制法(RSIS法)により,これも主要なアレルゲンである33kDa allergenを低下させたイネ系統が作出されている.本研究では,上記の形質を組み合わせたアレルゲン低減米の作出を試みた. Trx h発現・33kDaアレルゲン抑制組換えイネ系統より,Trx h高発現および33kDaアレルゲン抑制系統が選抜できたが,その頻度はおよそ5〜10%と低かった.RAG1・33kDa両抑制型組換えイネ系統は,両アレルゲンが低減傾向の系統は選抜できたが,完全に抑制した系統は得られなかった.
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