研究概要 |
1,高脂血症および高血圧対策米の開発 血清コレステロール値低下作用を有するラクトスタチンペプチド(IIAEK)および高血圧低下作用を有するノボキニンペプチド(RPLKPW)を可食部に集積させた生活習慣病予防米の開発を進めた.組換えイネ作出には,イネゲノム由来の選抜マーカー遺伝子(mALS)を用い,その宿主にはコシヒカリ系統を用いた.それぞれの組換えイネは,モデル動物を用いた機能性試験により,血清コレステロール値低下作用若しくは高血圧低下作用を確かめた. ラクトスタチンおよびノボキニン蓄積米は,カルタヘナ法に準じた隔離ほ場における遺伝子組換え生物第1種使用申請の準備を開始した.すなわち,特定網室内において,導入遺伝子のゲノム安定性,導入タンパク質の蓄積レベルの安定性等を,T2~T5植物を用いて調査した.この結果,ゲノムや導入タンパク質の蓄積レベルは,世代間を通じて安定していた. 2,低アレルゲン米の開発 米アレルギーの原因となる主要な3アレルゲン,14-16kD, 26kDおよび33kDアレルゲンを低減化した米の開発を,RNA抑制法を用いて進めた.この形質転換米を用い,17名のコメアレルギー患者血清のIgE抗体との反応性試験をおこなった.その結果,8割強の患者において,組換え種子タンパク質と患者血清IgEとの反応性が低下していた,低下が認められなかった患者においては,上記3種類以外のタンパク質が主要アレルゲンとなっていることが判った.現在,新たなアレルゲンとして同定したタンパク質の低減化を進めている.
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