研究概要 |
私はこれまでにRNA因子を鋳型としてペプチド因子連結反応をおこす系の構築を行った。今回、この反応系のさらなる理解、発展をめざした。最初にペプチドの長さを変えたときのペプチド連結反応の効率について調べた。具体的には26残基の2種のペプチドから2残基ずつ削ったペプチド(24残基、24残基)、2残基ずつ増やしたペプチド(28残基、28残基)、さらに片方のペプチドを2残基増やしたもの(30残基、28残基)で検討を行った。その結果、2残基ずつ削ったペプチドはオリジナルのものに比べて効率が下がり、残基数を増やしたペプチドはオリジナルのものに比べて多少の効率の上昇が見られた。しかし、1時間後の反応を調べたとき、もっとも効率があったもの(30残基、28残基)となかったもの(24残基、24残基)の差はおよそ1.5倍で、10残基の差では大きな差が見られないことが明らかになった。これはRNAの構造が揺らいでおり、10残基程度の差では反応点を近接させることが可能であることを示している。 さらに、RNAの種類を変えて連結反応を行った。グループIイントロン(テトラヒメナリボザイムのP4-P6の部分のみにした)、グループIIイントロン(大腸菌Sドメイン)、人工RNA(DSL骨格(Ikawa,Y.et al.Structure,2002,10,527.))の3種類のRNAに特異的な2つのペプチド結合部位を導入した。その結果、これまでの系と同様に効率的にペプチド連結反応が起こることが明らかになった。これより、テトラヒメナ・グループIイントロンのみではなく、より一般的に様々な種類のRNAでも連結反応できることを示した。以上の研究成果はChembiochem誌への投稿を目指して現在論文を作成中である。
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