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2008 年度 実績報告書

近代政治理論における政治主体の生成-ジョン・ロックの「人民-主権」論の射程

研究課題

研究課題/領域番号 08J03424
研究機関一橋大学

研究代表者

鵜飼 健史  一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードジョン・ロック / 人民主権 / 権威 / ユートピア / 国家 / ウィリアム・ユノリー
研究概要

平成二十年度は、ジョン・ロックの人民主権論を集中的に精読・精査した。具体的に言えば、第一に、ロック理論における権力と権威の関係性とその思想史的意義について考察した。そして、ロックが政治権力と政治的権威を明確に区別していた点を論証し、それが政治主体である人民の理論的背景をなしているという点を分析した。第二に、ロックのユートピア論とその国家論的位置づけを考察し、『一橋大学社会科学古典資料センター年報』に発表した。ロックのユートピア論は、いままでほとんど論じられてきておらず、政治論との関係は不明確であった。これに対して、本論考では、このユートピアが人民主権論によって成立する政治社会として計画されていたという点を明らかにした。
これら古典的な研究と並行して、主権や国家に関する一般的な理論研究を、国内主要雑誌に発表した。政治学において、主権概念はほとんど分析されていないため、この研究が現代における主権理解に画期的な視座を提供することが期待される。また平成二十年度は、翻訳に力を入れた。世界的な政治理論家として著名な、コノリーの近著(『プルーラリズム』2008)を翻訳し、政治学分野の発展に寄与した。同著は、政治理論の基本的なテクストとして、幅広い活用がなされるものと期待される。また、喫緊の中東情勢を論じたアリの論考の翻訳(『現代思想三月号』青土社2009)は、いまだなじみの薄い同地域の政治的現状を紹介するのに、貢献できたと考えている。そこで論じられたのは、アメリカ合衆国の政治的方針が、どのように中東諸国の政治形態に影響を及ぼしているかである。主権を分析することを主眼とする本研究にとって、具体的な主権と国家の関連性を論じることは、研究の幅を広げる点で有意義なものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ジョン・ロックのユートピア-「アトランティス」草稿と政治理論2009

    • 著者名/発表者名
      鵜飼健史
    • 雑誌名

      一橋大学社会科学古典資料センター年報 第29号

      ページ: 49-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 国家と普遍的なるもの2008

    • 著者名/発表者名
      鵜飼健史
    • 雑誌名

      情況 第3期第9巻第9号

      ページ: 116-125

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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