研究概要 |
(1)フックの高分解能での構造解析 低分解能での解析にとどまっていた(約15A分解能)フックの高分解能解析(7A分解能)に成功した。フックはユニバーサルジョイントとしてモータとフィラメントを繋ぎ柔軟に曲がる。これまで明らかになっていなかったフックチューブの中心構造は短長2本のαヘリックスからなり、この長さの違う2本のαヘリックスが繊維軸方向にルーズにパッキングしており、外側にある2つのドメイン間相互作用だけでなく、この中心部分の分子間相互作用も曲げに柔軟な構造に寄与していることが新たに明らかになった。本成果をStructureに発表した(Fujii et al,2009,Structure)。 (2)分解能3Aを目指したロッドとフックの構造解析(高分解能情報を保持した画像取得法の探索) 画像解析上の工夫では、らせん状複合体由来の制約条件を単粒子解析法に取り入れることで、アラインメントの精密化と良い画像を選別するプログラムを作成した。極低温電子顕微鏡による撮影条件の系統的評価をおこない、氷包埋試料の作成におけるより良い条件を見つけ出した。この条件により高質画像取得の歩留まりがよくなり高分解能解析(7A)をハイスルーブットで行なうことができるようになった。TMVコート蛋白質のディスク複合体において、主鎖や大きな側鎖が解像できる原子分解能レベルである3.8A分解能を達成した。その研究で培った技術を用いて現在ロッド、フックのデータを収集解析中であり、原子分解能での構造解析を目指している。
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