研究概要 |
三方両錐構造を有する5配位15族元素化合物は非常に早く異性化することが知られているが、提唱されている異性化機構の一つであるturnstile rotation (TR)機構はこれまでその存在が疑問視されていた。前年度は、新規に合成した強固な三座配位子および2つの異なるアリール基を有する5配位アンチモンを合成し、その化合物の異性化がTR機構で進行することを明らかにした。 本年度は,より理想的なTR機構による異性化が進行すると考えられる三座配位子と二座配位子を有する5配位アンチモン化合物の合成について検討した. 従来の手法であるモノクロロスチボランに対してジリチオビフェニルを作用させる方法では目的物を合成することはできなかったが,種々の方法を検討した結果,クロロスチビンと塩化スルフリルから調製できるトリクロロアンチモネートにジリチオビフェニルを作用させることで低収率ながらビフェニリル基を有する5配位アンチモンが合成できることを見いだし,X線結晶構造解析により三方両錐構造を有することを確認することに成功した.さらに,鈴木カップリング反応によって新規に合成したクロロ基とトリフルオロメチル基を有する非対称ジブロモビフェニルを用いることによって異性化の研究に必要な非対称ビフェニリル基を有する5配位アンチモンの合成にも成功した. また,米国イリノイ大にてリン原子および芳香環を配位部位とするη^6-κ^1型配位子を有するロジウム錯体を用いたヒドロアミノ化反応の反応機構の研究をおこない,反応活性種の特定および反応機構の決定に成功した.
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