1.新規リチウムイオン応答性変色蛍光色素の設計および合成とセンサーデバイス化 優れた耐光性を示すボロンジピロメテン骨格に、リチウムイオン配位部位である14クラウン4エーテル、および基板に固定化するための水酸基末端を持つアルキル鎖を導入した分子を設計し、9工程で合成した。次に、合成した色素を、シランカップリング剤を介してガラス基板に固定化することで、リチウムイオンセンシングデバイスを作製し、リチウムイオン濃度に依存した蛍光極大波長のシフトを確認した。2つの蛍光極大波長の強度比(レシオ)は、色素分子とイオンとの濃度平衡のみに依存するため、高感度で再現性の良い蛍光レシオメトリック測定を行うことが可能である。また、測定濃度領域は医療・産業計測のニーズに合う良好な結果であった。さらに測定値は測定サンプルのpHや妨害イオン種の影響を受けないこと、連続測定可能な耐久性を持つこともわかり、実用応用が期待できる。今後は応答速度などの基礎特性の評価を含め、実用応用に向けた測定を行っていく予定である。 2.新規pH応答性蛍光量子ドットの創製 合成実験の簡素化を考慮し、ガラス基板に量子ドットを固定化し、更に量子ドット表面にpH応答性色素を修飾することで、pH応答性蛍光量子ドットを用いたセンシングデバイスの開発を試みている。 本年度はガラス基板表面にジチオール末端を持たせ、この末端にコアシェル型量子ドットを固定化し、UV照射条件下で目視によりガラス基板から量子ドット由来の蛍光を確認した。今後は固定化された量子ドットの表面にpH応答性蛍光色素を修飾することで、pHセンサーデバイス化を行っていく予定である。
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