<内容>好塩基球は末梢血中のわずか0.5%を占める非常にマイナーな細胞集団であり、機能としてはマスト細胞と同様にFcεRIを発現し、このFcεRIを介した刺激により、炎症を引き起こすヒスタミンやロイコトリエンなどの産生を誘導することが知られている。最近、我々は好塩基球特異的な除去抗体を作製し、好塩基球特異的な機能の解析に勤めてきた。その結果、好塩基球がアレルギー性疾患や寄生虫感染防御の役割をになうことが明らかになってきた。しかしながら、これまで我々が従来行ってきたフローサイトメトリーなどの方法では、好塩基球の組織学的な局在が分かりにくく、細胞間、細胞とその他の組織との関係性などの解析も十分には行えない。そこで、我々は好塩基球の組織染色を行う抗体の作製に取り組んだ。<意義>好塩基球は、モルモットではギムザ染色により組織学的な観察ができるが、マウスの好塩基球の顆粒はヒトの好塩基球と同様にモルモット程発達していない為にギムザ染色では観察できない。我々はマウスの好塩基球に特異的に発現しているmMCP-8、mMCP-11に対するモノクローナル抗体を作製し、好塩基球の組織学的解析に取り組んだ。また、これらの抗体を用いて、好塩基球の組織内局在を明らかにした。<重要性>これらの抗体を使用することで、好塩基球と組織、その他の細胞や病原体との関わりを明らかに出来る。好塩基球をターゲットとしたアレルギー疾患や感染症治療を具体化するのに不可欠なツールである。
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