平成22年度は、平成21年度と同様に、国際司法裁判所(ICJ)が当事国の同意を具体的にどのように判断しているか、管轄権の基礎となる文書(同意の表明形態)ごとにより詳細な判例の分析を重ねた。 まず、平成21年度から引き続き、3つの多数国間裁判条約にもとづく国際司法裁判所(ICJ)管轄権に関する研究を進め、そのうえで、最近多用されているにもかかわらず、その規定内容が曖昧であるために解釈が分かれていたボゴタ規約を検討対象の中心とした、「ボゴタ規約にもとづく国際司法裁判所の管轄権」どいう題目で投稿論文を発表した。 次に、ボゴタ規約と並んで近年援用されることの多い、二国間・多数国間条約に盛り込まれる裁判条項にもとづくICJ管轄権に関する研究を行った。とくに、近年人権条約の裁判条項が援用されるようになった実行に着目し、「裁判条項にもとづく国際司法裁判所の管轄権」という題目で研究報告を行ったうえで、その成果を論文として仕上げた。また、その間、本研究に関する重要な事件であるグルジア対ロシアの人種差別撤廃条約適用事件先決的抗弁の口頭弁論を傍聴することで、問題点をさらに明確にすることができたため、現在、この点に関して、常設国際司法裁判所(PCIJ)の実行も踏まえて研究を進めており、平成23年度により詳細かつ射程の広い研究論文を発表する予定である。 米国コロンビア大学に3ヶ月間在外研究をおこない、国際法・国際裁判研究の知見を広げた。
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