研究概要 |
植物ホルモンのアブシジン酸による気孔閉鎖には蛋白質リン酸化反応が重要な役割を担うと考えられているが、細胞内情報伝達の分子メカニズムには不明な点が多い。私はこれまでの研究により、ソラマメにおいてアブシジン酸に応答して孔辺細胞特異的に61kDa蛋白質がリン酸化され、14-3-3蛋白質と結合することを見出した。また同様に、モデル植物シロイヌナズナでも似た性質をもつ53、43kDa蛋白質を見出した。しかしながら、これら蛋白質は同定されておらず、生理学的役割は不明であった。そこで本研究ではこれら蛋白質の機能を明らかにすることを目的として、まずは蛋白質の同定を試みた。これら蛋白質は細胞中に微量しか存在しないため、高感度に蛋白質同定が可能な質量分析を行うことを目的として、ゲノム解析がなされているシロイヌナズナを実験材料に用いた。二次元電気泳動やカラムクロマトグラフィーなどいくつかの蛋白質分離精製方法を試したが、なかでも14-3-3蛋白質との結合を利用したアフィニティ精製が最も効率の良い方法であることがわかり、この方法を採用した。材料としてシロイヌナズナの孔辺細胞を10mg以上単離した。その後、ABA処理した細胞を用いて、アフィニティ精製によって53,43kDa蛋白質を精製してSDS-PAGEで分離した。そしてゲルを切り出してから質量分析をおこない、これら蛋白質の同定をおこなった。さらに、蛋白質の機能解析に用いるために、GFP融合蛋白質などを導入した植物の作製をおこなった。
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