研究概要 |
Auroral substorm発生時には,磁気圏尾部と極域電離圏を結合して流れる,サブストームカレントウェッジ(SCW)という3次元電流系が形成されることが知られている.SCWの形成過程を理解することは,substorm発生機構を理解する上で,最も重要な要素である.本研究では,SCWがsubstormのオンセット過程において,どの段階から形成され始めるのかを明らかにするために,SCWが形成され始めるタイミングとauroral breakmpの開始するタイミングを統計的に調べた.SCWの形成は,夜側中低緯度で観測される,positive bayと呼ばれる地上磁場変動として捉えることができる.従って本研究では,positive bayの開始をSCWの形成開始と定義した.地上磁場データとしては,九州大学宙空環境研究センターのCPMN(環太平洋地磁気観測網)[Yumoto and CPMN Group,2001]のKAGで観測されたものを用いた.Positive bayの開始時刻は,SSA(特異スペクトル分析)を応用した変化点検出法 (M-SST)[Tokunaga et al.2010a][Tokunaga et al.2010b][Tokunaga et al.2010]により,客観的かつ精密に推定した.さらに,SCWの形成開始のタイミングと,auroral initial brighteningおよびauroral breakmpとのタイミングとの前後関係を調べた.その結果auroral ininal brightening開始とSCWの形成開始はほぼ同時であることが統計的に明らかになった.また,SCW形成開始からauroral breakmpまでは,平均で4分程度の時間がかかることも明らかになった.
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