【研究目的】本研究では、多孔質材料であるメソポーラスシリカをベースとして、一つの担体中に様々な機能を有する薬物担体の創製を目的としている。機能集積型メソポーラスシリカの設計方法として、様々な機能を有するメソポーラスシリカナノ粒子をビルディングブロック(一次粒子)として、これらを一つの粒子に複合化(二次粒子化)することを計画している。一般に、生体内に導入可能な粒子サイズには上限(約200nm)かおるため、一次粒子の粒径が小さいほど二次粒子の粒径を小さくでき、生体内に導入可能である。また、二次粒子化する場合に、それぞれの一次粒子を均一に複合化するためには、一次粒子の分散性も考慮する必要かおる。そこで本年度は、機能集積型メソポーラスシリカの創製の第一歩として、メソポーラスシリカナノ粒子のサイズ制御および分散制御に注力した。 【研究方法及び研究成果】まず、粒径制御の方法として、シリカ源であるアルコキシシランの加水分解速度に注目した。その結果、加水分解速度の速いアルコキシシランを用いると粒径は縮小し、加水分解速度が遅いと粒径は増大し、15-100nmの範囲で粒径を制御できた。次に、メソポーラスシリカの合成に必要な、界面活性剤とシリカ源の比を調製し、界面活性剤がリッチな条件の下、分散性の良いナノ粒子を得ることができた。また、透析膜を用いた鋳型除去プロセスにより、分散性を維持したまま、鋳型分子を除去することができた。このような分散性の高いナノ粒子は本研究の目的である、機能集積型メソポーラスシリカのビルディングユニットとして最適である。今後はこれらの特性(粒子サイズ・分散性)を維持したまま、ナノ粒子の機能化を試み、機能集積型メソポーラスシリカの実現を試みる。
|