前年度までの研究により、骨芽細胞においては高濃度の細胞外グルタミン酸(Glu)により、Xc^-輸送系の逆行性輪送活性が亢進して、増殖性が抑制されるという結果を得た。また、MC3T3-E1細胞にxCT遺伝子を強制発現することにより細胞の増殖能は強制発現細胞においてコントロール群に比べて有意な上昇が確認された。さらに強制発現細胞では、骨芽細胞分化能は有意な抑制が確認された。本年度はxCT強制発現細胞を用いさらなる解析を行った。xCT強制発現細胞およびコントロールとして空ベクターを導入した細胞を用い、[^<14>C]標識されたシスチンを用いて、シスチンの取り込み活性を測定した。その結果、強制発現細胞においてはシスチンの取り込み能の著明な上昇が確認された。また、強制発現細胞においては骨芽細胞分化過程の抑制が確認されたので、マスターレギュレーターであるRunx2のdeletion constractを作成し、その転写能について検討を行ったところ、転写開始点上流976bp付近で有意な抑制が確認された。またこれは一過性の発現ベクターを用いた場合でも同様の結果が得られた。さらに、MC3T3-E1へ一過性にxCT発現ベクターを導入した際にも、MTT還元能の上昇ならびに、Runx2タンパク質の発現減少が確認されたのに対し、xCTのsiRNAを導入した際には、MTT還元能の減少ならびに、Runx2タンパク質の発現上昇が確認された。また、OVXマウスの大腿骨および脛骨より、totalRNAおよびタンパク質を回収したところ、OVXマウスにおいては、xCTのタンパク質、mRNAいずれにおいても著明な発現上昇が確認された。これらの結果より、xCTの機能を抑制することにより、骨粗鬆症治療につながる可能性が示唆される。
|