研究課題
本研究では、機器分析と化学分画/各種in vitroバイオアッセイ手法の統合による毒性同定評価アプローチを野生高等動物に適用し、生態系に蓄積している潜在的有害物質の存在やそのプロファイルを網羅的に明らかにすることを目的としている。平成20年度の研究では、物理化学的性質の異なる数十種の化学物質標準品を用いて液-液分配・カラムクロマトグラフィー・HPLCから成る化学分画法を構築し、ダイオキシン類等の残留性有機汚染物質(POPs)が高い濃度で蓄積していることを既に把握しているタヌキ、カワウ、スナメリおよびバイカルアザラシなどの野生高等生物に適用して試料抽出液を調製した。一部抽出液については、ダイオキシン様活性を検出するin vitroバイオアッセイに適用して、活性情報を取得した。平成21年度は、オランダアムステルダム自由大学環境研究所(VU IVM)に滞在して、調製した試料抽出液についてダイオキシン様活性に加え、甲状腺ホルモン(T3)様活性、エストロゲン様活性、アンドロゲン様活性など複数活性のプロファイルを取得する予定である。また、活性の強い高毒性画分については、VU IVMで既に確立されているGC-MSやLC-MS-MS等の化学分析に供し潜在的有害物質の検索・同定を試みる。平成20年度の研究の最大の成果は、潜在的有害物質を物理化学的性質によって効果的に分離する抽出及び化学分画法を構築した点にある。本研究で対象とする潜在的有害物質は膨大な数の化学物質と共に存在しているため、効果的な化学分画法の構築は物質同定へ向けたアプローチにおいて重要な意義をもつ。
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http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es900669w