希少放線菌Actinoplanes missouriensisのIII型ポリケタイド合成酵素(PKS)クラスターの生成物の決定、およびその生合成経路の解明を行った。その結果、同クラスターが天然からは単離されたことのない新規化合物であるalkyl-O-prenyl-methoxy-hydroquinoneを合成することを明らかとした。天然から単離される化合物が減少する中、新規化合物を合成する酵素群の研究は貴重である。また、alkyl-O-prenyl-methoxy-hydroquinone合成反応を触媒する修飾酵素である水酸化酵素、メチル化酵素、プレニル基転移酵素の触媒活性を明らかにした。特に、メチル化酵素、プレニル化酵素は微生物由来のPKS関連修飾酵素として新規なファミリーに属する酵素であった。また、糸状菌Aspergillus terreus由来のβ-lactamase型thioesteraseであるatrochrysone carboxylic acid thioesterase(ACTE)の機能解析を行った。ACTEはFeに加えて、Mn、Ni、Coが活性に必要であることを示した。PKS関連thioesteraseにおいて金属を活性中心に持つものは知られておらず、ACTEの更なる反応機構の解明に興味が持たれる。
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