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2010 年度 実績報告書

支配権喪失後のカリフの権威:軍事政権、アッバース家、ウラマーの視点による再考

研究課題

研究課題/領域番号 08J06498
研究機関(財)東洋文庫

研究代表者

橋爪 烈  (財)東洋文庫, 研究部, 特別研究員(PD)

キーワード正統カリフ / アッバース朝 / ブワイフ朝 / ダイラム
研究概要

21年度に行った知識人によるカリフ論の発展についての検討を踏まえ、これを通時的に示すと同時に、共時的な視点を導入し、カリフ論を取り上げる知識人たちの間の議論について考察する作業を行った。具体的には、各種の神学著作の内容を読解しつつ、知識人についての人名辞典を参照してカリフ論を含む神学著作の著者たちの横のつながりを洗い出す作業を行った。またカリフ論については、神学分野に加え、法学、哲学分野の著作にも当たり、法学では20世紀初頭の思想家ラシード・リダーの『イスラーム的カリフ論に関するシャリーアの統治』という著作を読み進め、哲学では10世紀後半の哲学者イブン・スィーナーの『治癒の書』に含まれるカリフ論の訳出を行うなど、様々な分野のカリフ論の内容を把握し、包括的な検討につなげるための準備を行った。従来のカリフ論研究が、著作家個人の思想内容の把握に終始しているのに対し、本研究は個々のカリフ論の引用・参照関係や思想の影響の点にも配慮しており、カリフ論の発展や社会に対する影響についてより具体的な成果を提示することになるだろう。一方、アッバース朝カリフがカリフ論をどのように捉え、行動をし、自らのカリフ権力や威信の保持に努めようとしたかを、周辺の軍事政権、特にカリフの行動との関わりが密接なブワイフ朝との関係から考察するため、まずブワイフ朝側の王統観や政権の基盤であるダイラム軍団の重要性について検討した。これらの考察には、継続して校訂作業を行っている『時代の鏡』を中心とした年代記史料群を用いた。
以上の成果を、本年は論文1、翻訳2、書評1、研究発表2、招待講演1において提示した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 『王冠の書』にみるアドゥド・アッダウラの王統観2011

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 54-1(掲載決定済み)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] (翻訳)『治癒の書:形而上学編』「カリフ論」試訳2011

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 雑誌名

      イスラームにおける知の構造と変容:思想史・科学史・社会史の視点から

      巻: (所収) ページ: 307-315

  • [雑誌論文] (翻訳)イブン・ハルドゥーン自伝32011

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈、原山隆広、吉村武典、佐藤健太郎
    • 雑誌名

      イスラーム地域研究ジャーナル

      巻: 3 ページ: 47-72

  • [雑誌論文] (書評)「佐藤次高編『イスラームの歴史1:イスラームの創始と展開』」2011

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 4-1(掲載決定済み)

  • [学会発表] (講演)ブワイフ朝におけるファールス地方の位置付け:ダイラムの活動を通して2011

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 学会等名
      財団法人東洋文庫談話会
    • 発表場所
      東洋文庫
    • 年月日
      2011-03-14
  • [学会発表] 王冠の書にみるアドゥド・アッダウラの王統観2010

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 学会等名
      第52回オリエント学会
    • 発表場所
      国士舘大学
    • 年月日
      2010-11-07
  • [学会発表] ミスカワイフ著『諸民族の経験』に見るリアーサの概念についての一考察2010

    • 著者名/発表者名
      橋爪烈
    • 学会等名
      第一回イスラーム初期史研究会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2010-09-25

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公開日: 2012-07-19  

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