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2009 年度 実績報告書

人間の表情認知能力の限界とその社会的応用-人は正確に"顔をよむ"ことができるか?

研究課題

研究課題/領域番号 08J06959
研究機関日本女子大学

研究代表者

上田 彩子  日本女子大学, 人間社会学部, 特別研究員(PD)

キーワード顔のパーツ / 表情認知 / 顔認知 / 化粧
研究概要

本研究目的は、人は正確に"顔を読む"ことができるのか?という問題を基に、細かいレベルの人間の顔認識能力の正確さを検討することであった。顔パーツの表情認知に関する研究では、顔の情報をひとまとまりとして処理する過程で表情も処理されているという問題を基に、顔の部分表情の認知の際の顔の他領域の果たす役割について、眼と口に注目して比較検討した。表情間で顔を部分的に入れ替えた合成画像を用いて検討した結果、顔パーツの表情認知で顔の他領域が影響したため、表情認知においても顔の全体処理が起きることが示された。その影響度合いはパーツによって異なり、口と比較して眼の方が強く影響を受けることが示された。表情認知には男女間の脳の機能的な違いに由来する性差が存在するが、これまで顔認知過程と表情認知過程の相互作用の観点から性差を検討した例がないという問題に基づき、顔認知・表情認知過程間の相互作用における性差について検討した研究では、表情を表出した顔に対する相貌印象の評価に表情が及ぼす影響に性差が認められるかどうか観察した。その結果、女性は魅力を判断する際に刺激の表情に強く影響を受けたが、男性は女性ほど刺激の表情に影響を受けなかった。この性差は脳の顔処理過程の性差を反映した可能性が高い。化粧は美しさのような相貌印象以外の顔が発信する情報にも影響を及ぼしている可能性が高いという問題を基に、化粧が人物同定課題に及ぼす影響を検討した研究では、化粧パターンの変化で顔の再認課題成績がどう変化するか観察した。その結果、素顔からの変化の最も大きい濃い化粧での人物同定が最も難しく、他方、素顔よりも軽い化粧での同定が最も容易であることが認められた。また、顔とメイク顔の変化が大きい場合において、物理的に同じ変化量であるにも関わらず、メイク顔から素顔を同定する方が、素顔からメイク顔を同定するよりも困難であることが示された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 表情が印象判断に及ぼす影響における性差2010

    • 著者名/発表者名
      上田彩子・廼島和彦・村門千恵
    • 雑誌名

      認知心理学研究 17

      ページ: 103-112

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of make-up on facial recognition2010

    • 著者名/発表者名
      Sayako Ueda, Takamasa Koyama
    • 雑誌名

      Perception 39

      ページ: 260-264

    • 査読あり
  • [学会発表] メイク顔・素顔認知における相互作用2009

    • 著者名/発表者名
      上田彩子・小山高正
    • 学会等名
      第14回日本顔学会大会"フォーラム顔学2009"
    • 発表場所
      鹿児島大学(鹿児島)
    • 年月日
      2009-11-01
  • [学会発表] 表情の個性に顔の形態情報が及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      上田彩子
    • 学会等名
      日本心理学会第73回大会
    • 発表場所
      立命館大学(京都)
    • 年月日
      2009-08-27
  • [学会発表] 顔のパーツの表情に顔の表情が及ぼす影響-眼は口ほどにものを言うか?-2009

    • 著者名/発表者名
      上田彩子
    • 学会等名
      日本認知心理学会大会第7回大会
    • 発表場所
      立教大学(埼玉)
    • 年月日
      2009-07-19

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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