1、両国における学校とNGOによる教育実践の先行研究を「多文化共生」の分野を中心に分析し協働する上での課題を整理した。前年度に比較検討し博士論文としてまとめた内容の一部を再編集し、「立命館平和研究」(立命館大学平和ミュージアム紀要)への投稿準備を行った。 2、中学校やNGOが協働した「多文化共生教育プログラム」を教員と協力して引き続き開発し、その成果を発表しながら、韓国のNGOや教員に協働や交流の提案を行った。筆者がコーディネーターとして関わっている「多文化共生教育プログラム」を、2010年度は「ロシア・ウクライナ」をテーマに授業を開発、実践中である。これまで2年生を中心に行っていた授業を1年生にも拡大するなど、プログラムの充実をはかっている。また、実践の一部が韓国の「多文化新聞」などに記事として紹介され、韓国で多文化教育に関わる人々に広く実践を紹介する機会を得た。 3、NGOなどのトランスナショナルな主体と中学校が協働する「包括的平和教育プログラム」を「多文化共生」の視点から開発した。開発したプログラムの実践事例について「日本ホリスティック教育研究大会」で発表し、内容を再検討しながら、「国際理解教育」(日本国際理解教育学会誌)への投稿準備を行った。 以上のような研究成果を広く公表していくことは、日本と韓国の学校やNGOとの連携を進めるだけでなく、グローバルな協働ネットワークへの基礎づくりとなりうる点で大変重要である。
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