研究概要 |
本研究では,インペラを磁気軸受によって浮上する磁気浮上遠心血液ポンプを提案している.平成22年度は,1.使い捨てインペラに永久磁石を内蔵した1次試作機の2ヵ月の長期動物実験,および2.使い捨てインペラに永久磁石を内蔵しない磁気浮上遠心血液ポンプの評価,3.血液ポンプ用磁気軸受のコントロールシステムの小型化を実施した. 1.1次試作機の長期動物実験 生体適合性評価のため,東京医科歯科大学と連携して,仔牛を用いた長期動物実験を実施し,2ヵ月の連続運転に成功した.本実験を通して,市販血液ポンプよりも血栓形成の発生が少なかったことから,インペラを磁気浮上することによる生体適合性向上を確認している. 2.使い捨てポンプヘッドに永久磁石を用いない磁気浮上遠心血液ポンプ 使い捨てポンプヘッドの低コスト化,安定供給のため,インペラ内部にレアアース磁石を内蔵しない磁気浮上血液ポンプを提案している.本年度はその評価を実施した。具体的には,Hinfinity制御を磁気軸受に適用することで安定した磁気浮上を実現し,臨床使用範囲をカバーする0-4000rpmの回転数において非接触回転を実現している.ポンプ性能は最大で流量5L/min,揚程600mmHgを実現し,臨床時に要求される性能の3倍を実現した. 3.磁気軸受コントロールシステムの小型化 本血液ポンプは体外設置型であるが,コントローラや電源系を小型化し,患者が持ち運び可能なポータブルシステムとすることを目標としている.その第一段階として,埋め込みシステムを導入することで,磁気軸受用コントロールシステムをA5用紙程度のボードに集約することに成功した.
|