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2008 年度 実績報告書

下層群落の成育が人工林のリターに及ぼす影響:モデル構築-将来予測-現状との比較

研究課題

研究課題/領域番号 08J07278
研究機関九州大学

研究代表者

宮沢 良行  九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)

キーワード葉の現存量 / 下層群落 / リター / 生理生態特性 / 人工林 / 耐陰性 / 常緑広葉樹 / 落葉広葉樹
研究概要

本年度は当該研究の目的である、『1.下層植生が保有する葉が落葉するまでのプロセス』について集中的にデータの採取を行い、モデル構築の基礎となる知見を得て論文にまとめた。また本研究の目標の一つである『2.下層植生の種組成の変化がリター量に及ぼす影響』について、樹木個体レベルではあるものの、定性的な結果が得られた。
1.葉が落葉するまでの、加齢に伴う生理活性と養分含量の低下に注目して、その定量的な計測を行った。その結果、本研究が対象とする暖温帯林人工林の下層では、生理活性の低下は顕著ではなく、他地域で行われてきた従来の研究の知見に立脚した生理・化学特性の予測モデルが、暖温帯林の下層植生では適用できないことが明らかになった。この知見を基に、葉群内の生理特性の空間分布についての結果を論文にまとめ、投稿中である(New Phytol)。
2.リターの化学特性に加え、リター量の予測モデルについてもデータの採取と解析を行った。薄い葉が多数落葉する落葉樹植生と、分厚い葉が少数落葉する常緑樹植生をモデルケースに、人工林管理によって下層植生の主組成が変化した際に、年間のリター量がどう推移するのか、検証を行っている。この問いに対し、葉量の同程度の落葉樹個体と常緑樹個体では、個体からの総リター量が落葉樹で有意に大きいことが明らかになった。この傾向は、世界中で集められている葉の生理生態特性のデータベースからも裏付けられることが分かった。
この結果は、落葉樹では保有する葉の欠乏に陥りやすいことを示唆しており、このことが鬱閉した人工林下層での生息数の低いことの原因ではないか、という仮説を提起して、論文を投稿中である(J.Plant Res.)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 根系の水と養分吸収の生理生態「根も葉もある植物体内のまとまり」2009

    • 著者名/発表者名
      齋藤隆実・宮沢良行
    • 雑誌名

      日本生態学会誌 59

      ページ: 39-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カンボジアの在来樹種と外来樹種の蒸散特性の解明に向けて2009

    • 著者名/発表者名
      吉藤奈津子・立石麻紀子・宮沢良行・熊谷朝臣
    • 雑誌名

      日本熱帯生態学会ニューズレター 74

      ページ: 7-11

  • [学会発表] Photosynthesis measurements of exotic and native tree species in a tropical community forest in Cambodia2008

    • 著者名/発表者名
      Y. Miyazawa, K. Otsuki
    • 学会等名
      Asian Forest Workshop 2008 in Cambodia
    • 発表場所
      Phnom Penh, Cambodia
    • 年月日
      2008-11-20
  • [学会発表] ラオス産コウゾの生理生態・弱光への応答と受光体制2008

    • 著者名/発表者名
      Manithong Chansom, 宮沢良行, ら
    • 学会等名
      日本植物学会72回大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      2008-09-25

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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