研究概要 |
本年度は本研究の目的である極細クライオプローブを用いた微小凍結手術の実現のために1.極細クライオプローブの製作と冷却性能の評価,2.極細クライオプローブ内における冷媒の状態量の数値解析の研究を行った. 1.極細クライオプローブの製作と冷却性能の評価 実際に外径が0.55mmのステンレス管を用いて極細クライオプローブを製作した.極細クライオプローブは二重管構造となっており,内管および外管ともにステンレス製である.冷媒には大気圧下での沸点が-82.1℃である代替フロンHFC-23を用いた.断熱冷却実験を行い,極細クライオプローブの表面温度がほぼ一様であり,その温度は-45℃となったことがわかった.この研究により,マイクロチャネルを利用した本冷却器では,その冷却性能を制御するために冷媒の状態変化を考慮した設計が必要になることが明らかになった. 2.極細クライオプローブ内における冷媒の状態量の数値解析 極細クライオプローブの冷却性能を評価するために内部の冷媒がクライオプローブ内でどのように変化するかを数値解析により検討した.一次元エネルギー保存式および質量保存式,圧力損失および沸騰熱伝達の相関式を用いることにより,冷媒の温度,圧力,クオリティを計算した.断熱冷却実験の結果と比較することにより,本数値解析が定量的な評価を可能にしていることを確認した.冷媒が極細クライオプローブ内で状態を大きく変化させること,状態変化が冷却性能に影響を与えていること,また本数値解析手法を利用した極細クライオプローブの最適設計が可能であることを明らかにした.
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