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2011 年度 実績報告書

モロッコにおける出産、医療開発、身体イメージの変容に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08J07614
研究機関京都大学

研究代表者

井家 晴子  京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)

キーワード医療人類学 / 妊娠 / 出産 / オーラリティ / 記憶 / リスク / モロッコ / 文化人類学
研究概要

今年度は、4月から産休より復帰し、12月までは博士論文の執筆に遮進して取り組んだ。また、これまでの調査で収集したデータを整理、分析し、1月には2週間半のモロッコでの調査を行った。
これまでの調査では、出産の場での人々の実践に焦点を当て、そこでどのように経験や情報が共有され、交渉が行われ、出産の場で対処法が選択されるのかを明らかにしてきた。ここでは妊産婦、伝統的助産婦、妊産婦の家族・親族や隣人たちといった出産現場への立会人たちに対して行なって来たライフヒストリーの聞き取り調査をもとに、こうした歴史的経験が出産の場での語りを媒介として人々の選択と決定にいかなる影響を与えているのかを明らかにしようと試みた。
また、時代の変化による出産に関する新たな知識の取得に関しても分析を行なった。調査地では、モロッコの多くの農村にみられるように海外、都市部に居住する村出身の移民、失業中の教育を受けた若者たちが中心となって運営する村のNGOが女性の識字、衛生教育に活発に取り組んで来た今では、人々は当たり前のように衛星放送を鑑賞し、PC電話で海外に住む親戚たちと会話をする。ここでは、新たなメディアからどのようにして彼女たちがオーラルな情報と視覚的なイメージを入手し、それが身体の経験と概念にどのように結びつき、出産の実践の変化に関わっているのかを明らかにしようと試みた。
1月には、2週間半モロッコにおいて調査を行った。調査では、ハイリスク妊娠・出産といった医学知識が読み書きの出来ない村人たちによっていかに具体的な身体経験と結びつけられ、受け入れられていくのかを明らかにすることを目的とした。これまでの調査では、ハイリスク妊娠・出産の慨念は人々の経験と結びついて実感されなければ、受け入れられないことが明らかとなっていた。そこで、ここでは医学分野において出産のリスクの兆候とされる現象が、地域社会でどのように受け入れられ拒絶/無視されてきたのか考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

妊娠、出産、育児による

今後の研究の推進方策

半年以内に博士論文を完成させ、出版にまで持って行きたいと考えている。また、これまで収集して来たデータを早急にまとめて論文を投稿したい。

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公開日: 2013-06-26  

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