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2008 年度 実績報告書

加齢性記憶障害の分子メカニズム解明を目指した網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 08J07622
研究機関首都大学東京

研究代表者

山崎 大介  首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードPKA / 加齢性記憶障害 / ピルビン酸カルボキシラーゼ / TCAサイクル
研究概要

ショウジョウバエの加齢性記憶障害特異的変異体であるDCO/+変異体では、PKA活性が抑制されている。そこで加齢性記憶障害に関連するPKAの下流因子を見つけるため、野生型とDCO/+変異体で加齢によるタンパク動態を比較した。その結果、加齢に伴って、野生型ではリン酸化タンパクに特徴的なスポットシフトが亢進されるが、DCO/+変異体では若齢体、老齢体いずれでもスポットシフトが抑制されているタンパクを発見した。そこで質量分析によって一連のスポットタンパクを同定したところ、このタンパクがピルビン酸カルボキシラーゼ(Pyc)であることがわかった。Pycはミトコンドリアに局在する4量体のタンパクであり、ピルビン酸からTCAサイクルヘ、オキサロ酢酸を供給する酵素である。次いでPycが加齢性記憶障害に関わるか、Pycのヘテロ変異体(Pyc/+)で調べたところ、Pyc/+ではDCO/+変異体同様に加齢性記憶障害が顕著に抑制されており、老齢体においても高い記憶スコアを示した。ところで野生型では、キノコ体でPKA活性を亢進させると、若齢体でも加齢性記憶障害に良く似た記憶障害が起こる。しかしキノコ体でのPKA活性亢進とPyc変異を重複させると、PKA活性亢進による記憶障害が抑制された。以上のことから、PKA活性による加齢性記憶障害の発現には、Pycの活性亢進が重要な役割を担っていることが示唆された。Pycの活性調節機構や、TCAサイクルが記憶学習過程とどのように連動しているのかについては未知であり、加齢性記憶障害の研究を通じてそのメカニズムを解明できれば本分野にとって大きな前進になると思われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] cAMP/PKA signaling underlies age-related memory impairment2008

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Yamazaki
    • 雑誌名

      Brain Nerve July ; 60(7)

      ページ: 717-724

  • [雑誌論文] PKA inhibits a consolidated form of memory in Drosophila2008

    • 著者名/発表者名
      Junjiro Horiuchi
    • 雑誌名

      Proc. Natl Acad Sci. Dec 30 ; 105(52)

      ページ: 20976-20981

    • 査読あり
  • [学会発表] ショウジョウバエの加齢性記憶障害に関連する新規因子の同定と解析2008

    • 著者名/発表者名
      山崎大介
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル
    • 年月日
      2008-12-11

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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