研究概要 |
1.GC/MSを用いた尿中3メチル4ニトロフェノール(MNP)の高感度測定法の開発 ヒト調査及び動物実験でのFNT曝露量を推測するため、有機リン殺虫剤(OP)のフェニトロチオン(FNT)の特異的代謝物である尿中MNPのGC/MSを用いた高感度測定法の開発を行った。本法を用いることにより(1)LC-LC/MS/MSと同等の感度(定量限界1ppb)が簡便な前処理操作を行うことにより得られ、(2)OPのパラチオンの代謝物であるp-ニトロフェノール(PNP)が同時に測定可能であり、(3)尿中排泄されたMNP、PNPのフリー体の測定が可能であった。本法は情報の乏しい一般生活者集団におけるFNT曝露量の推測に応用できる。 2.GC/MS高感度測定法を用いた尿中MNP・PNPの生物学的モニタリング 上述の測定法でFNT散布者集団と殺虫剤非散布者集団の尿中総MNP濃度を測定した。本調査ではFNT散布の有無に加え、散布の多い夏と少ない冬の季節間の比較も行った。MNP濃度は季節に関わらずFNT散布集団で有意に上昇し、モニタリング指標としての有用性が確認された。FNT散布集団のMNP濃度は冬より夏で有意に高く、特に夏ではFNT総散布時間とMNP濃度の間口有意な相関が見られ、散布作業が1時間上昇するとMNPが12.3μg/gCreatinine上昇することが示された。 3.雄ラットにおけるFNT(0,5,10mG/kg)経口投与による精巣及び精子機能への影響 10週齢の雄ラットにFNTを週4日、9週間投与した後に解剖した。精巣・精巣上体重量は投与による変化は見られなかったが、精子運動性はFNT投与両群で有意に低下した。
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