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2009 年度 実績報告書

体制転換期インドネシアの地方都市から見る華人性の諸相

研究課題

研究課題/領域番号 08J08008
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

津田 浩司  名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード文化人類学 / インドネシア / 華人 / 民族誌 / 東南アジア / 宗教 / 文化
研究概要

本年度は、インドネシアの国家的文脈のもとでの仏教・孔子教(儒教)・道教の動向と、華人の宗教意識との関わりを明らかにすることに専念した。この目的のため、報告者は2度(平成21年8月17日~9月8日、および平成22年2月12日~3月2日)インドネシアに渡航し、実地調査を行なった。
前者の期間は、主にバリ島およびジャワ島東部に点在する30あまりの寺廟(中国寺院)の実態調査を行なうとともに、寺廟を統括する全国組織の理事らにインタビューを行なった。この調査で、インドネシア国内の寺廟のあり方の地域的特性を比較することができたのみならず、「華人の伝統的宗教」と目される寺廟組織の来歴や現状を把握し、かつ近年国家公認化された孔子教との間に生じ始めている軋轢についても実地に観察し聞き取ることができた。なお、昨年度は同目的のため中・東ジャワ州の寺廟調査を行なったが、その成果は『アジア・アフリカ言語文化研究(79)』に論文として掲載された。
後者の渡航期間中は、まず報告者が2002年来調査している中ジャワ北海岸の港町ルンバンに滞在し、同地の華人コミュニティの動向について最新の情報を得るよう努めた。この調査においては、近年中央レベルで顕著になりつつある華人の社会政治団体/利益団体の動きとは異なる、ローカルな論理で展開している地方レベルの現象に焦点を当てることで、当初掲げたもう1つの課題、すなわち、日常的対面関係を超え出るような「華人」としての何らかの連帯が今日のインドネシア社会において人々の実感を伴う形で成立するかを明らかにするための、重要な視点を得ることができた。日程の後半は、西カリマンタン州のポンティアナック市およびシンカワン市で元宵節の祭を観察するとともに、ジャワとは全く異なる歴史的背景を持つ華人コミュニティの実情を知ることができ、これまで主にジャワでの調査により得てきた華人コミュニティに関する知見を対象化することができた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 今、ジャワの寺廟で何が起こっているか-ポスト・スハルト期インドネシアの国家、宗教、華人コミュニラィ2010

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 雑誌名

      アジア・アフリカん言語文化研究 79号

      ページ: 37-71

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      TSUDA Koji
    • 雑誌名

      "Etnis Tionghoa yang Belajar Bahasa Mandarin : Pencarian 'Kecinaan'-nya?", Geliat Bahasa Selaras Zaman : Perubahan Bahasa-Bahasa di Indonesia Pasca-(Orde Baru.Mikihoro Moriyama & Manneke Budiman (eds.)) (Jakarta : Kepustakaan Populer Gramedia)

      ページ: 306-354

  • [雑誌論文] 【新刊紹介】Leo Suryadinata (ed.), 2008, Ethnic Chinese in Contemporary Indonesia, Singapore : Institute of Southeast Asian Publications.2009

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 雑誌名

      華橋華人研究 6号

      ページ: 119-123

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 雑誌名

      「中国語教室に通う華人-ポスト・スハルト期インドネシア華人にとっての「アスリ」なもの」,『多言語社会インドネシア-変わりゆく国語、地方語、外国語の諸相』(森山幹弘・塩原朝子(編蓍))(めこん)

      ページ: 221-257

  • [学会発表] 自己(再)定義を迫られるインドネシアの寺廟-東・中ジャワの調査から2010

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 学会等名
      「マレー・イスラーム圏における国民・民族概念の展開:プラナカン概念の再検討を通じて」日本マレーシア研究会関西地区例会(共催:東南アジア研究所公募研究
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2010-01-30
  • [学会発表] ポスト・スハルト期インドネシアにおける華人と中国語-地方都市における中国語学習ブームを手がかりに2009

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 学会等名
      第40回日本インドネシア学会研究大会
    • 発表場所
      京都外国語専門学校
    • 年月日
      2009-11-28
  • [学会発表] 今、ジャワの寺廟でなにが起こっているか?2009

    • 著者名/発表者名
      津田浩司
    • 学会等名
      第61回現代人類学研究会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス
    • 年月日
      2009-07-11

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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