研究課題
平成20年度の研究実績の状況を、概観する。4月、米国ボストンにて行われた米国教育哲学会に出席。哲学者ヒラリー・パトナムとカベル本人がプレゼンターを務めた企画のみならずカベルを囲んでの少人数の談話にも同席。彼の自己変容の思想の一面に「非宗教的改心」という概念があることを確認できた。8月には京都大学において開催されたInternational Network of Philosophers of Educationで発表をふたつ行う。そのひとつでは、問題解決型のロジックが解決不能な問に直面したときに、教師とその言語にどのような可能性が残されているかについて論じた。10月には、日本教育哲学会第51回大会において、「スタンリー・カベルによるエマソンの完成主義と教師教育」と題した発表を行う。カベルの完成主義は、ある特定の技能習得が有益であるという主張とは違ったかたちで、教師が読み続け学び続けることを喚起するのではないかとの提示を試みた。12月にロンドン大学のポール・スタンディッシュ教授に草稿を提出し指導を乞う。カベルの著作が、教育実践との関わりを放棄したものではなく、むしろ日常性が私たちの(哲学的)議論のなかで歴史的にも現実としても忘れられがちであることを指摘しているものであることを再確認した。また年末には、『臨床教育人間学』掲載の"Economy of 'Beyond the Self':Teacher Education in and as Higher Education"を脱稿。2月28日から3月1日にかけては、京都大学にておこなわれたロンドン大学との国際会議で口頭発表をおこなった。エマソンの自己信頼にもとづくカベルの声の概念が、自己と共同体の結びつきにどう関連するか論じた。平成21年度中を目標とする博士論文の作成・提出へ向けた研究を展開することができた。
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臨床教育人間学 9
近代教育フォーラム 17
ページ: 167-178