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2008 年度 実績報告書

縁起説を中心とした説一切有部アビダルマの思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08J09084
研究機関東京大学

研究代表者

一色 大悟  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード縁起説 / 説一切有部 / アビダルマ / 『阿毘達磨倶舎論』 / 無為法
研究概要

本年度は『阿毘達磨倶舎論』第二章「根品」の因果論該当箇所のサンスクリット・テクスト校訂と、当該箇所においてなされる無為法の実在性をめぐる議論について縁起説との関連からの検討を行った。
『倶舎論』第二章「根品」の因果論該当箇所のサンスクリット・テクスト校訂については、まず基礎作業として、資料となる『倶舎論』関係の和漢撰述文献、チベット撰述文献の収集を行い、版本または複写の形で十数点を入手した。またテクスト校訂のために、写本・漢訳・チベット語訳と諸注釈を参照しつつ『倶舎論』「根品」の訳注および校訂メモを作成した。また『倶舎論』の他の箇所、つまり第四章「業品」、第六章「随眠品」、第九章「破我品」などの内容と比較検討する必要が研究遂行上生じ、現在もその調査を実施中である。残念ながらサンスクリット・テクスト校訂作業は完了しなかったものの、より完成度の高い校訂に向けての足掛かりができたという点で意義のある成果があったと考えている。
次に、無為法の実在性をめぐる議論の検討については、『倶舎論』と『阿毘達磨順正理論』、および『阿毘達磨大毘婆沙論』と『成実論』の議論の比較検討を行った。この研究の結果、無為法のうちで特に涅盤の実在性は、「存在すること」の特徴を涅盤も備えることによって説明される。つまりそこでは存在と非存在との差異、および「存在する」ということの意味が問題とされていることが明らかとなった。現象界に条件付けられて存在するものを意味する「縁起」を考察する上で、存在についてのこの議論、特に存在と対比されるものとして問題となる非存在についての議論は看過しえないものであると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 有部アビダルマ論書における無為法の実有論証について2009

    • 著者名/発表者名
      一色大悟
    • 雑誌名

      インド哲学仏教学研究 16

      ページ: 39-54

    • 査読あり
  • [学会発表] 有部アビダルマ文献における縁起と無為2008

    • 著者名/発表者名
      一色大悟
    • 学会等名
      東京大学文学部インド学仏教学研究室研究例会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2008-11-13

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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