研究課題
2007年に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」には我々のグループが開発した極端紫外光望遠鏡が搭載されている。2008年3月に観測を開始し、地球近傍のヘリウムイオン(30.4nm)および酸素イオン(83.4nm)の撮像に成功した。「かぐや」による赤道面付近からの撮像は子午面における地球近傍プラズマの空間的描像を得られる世界初の観測となる。過去に私が行った観測器の較正試験結果を用いて、「かぐや」が得た画像から地球近傍プラズマの2次元密度分布を算出した。その結果、プラズマ圏が地球の磁力線に沿って「蝶形」に分布していることを初めて明らかにした。この結果は50年前に提唱された理論が正しかったことを証明する重要な観測事実である。さらに私は低高度からの地球近傍プラズマの撮像を目指し、国際宇宙ステーションに搭載する極端紫外光望遠鏡の開発も行った。私はアルミニウムと酸化イットリウムを交互に積層した反射鏡を新たに開発し、目的のヘリウムイオン共鳴散乱光に対する反射率を従来のものより25%程度向上させただけでなく混入光を従来の1/10程度まで低減させることに成功した。本反射鏡を用いて極端紫外光望遠鏡を製作し、較正試験を実施して感度や分解能などが目標値を達成していることを確認した。
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Review of Scientific Instruments
巻: 82 ページ: 033106-1-033106-4
Applied Optics
巻: 49 ページ: 2985-2993
http://www-space.eps.s.u-tokyo.ac.jp/group/yoshikawa-lab/introduction/murakami.html