研究概要 |
サプレッサースクリーニングで得られたCLV3 peptide suppressor, cls1は強いCLV3ペプチド耐性を示し、またその原因遺伝子はLRR型受容体様キナーゼをコードする。本年度は、CLS1の機能を詳細に解析するため、遺伝学的解析を行った。また、新規の変異体cls2に関しても、マップペースクローニングを行い、原因遺伝子の探索を行った。 1.CLS1とWUSの遺伝学的関係を明らかにするため、cls1 wus二重変異体を作出してその表現型を観察した。通常培地で生育したところ、cls1変異体は野生型同様花茎の伸長が見られるのに対し、cls1 wus二重変異体はwus変異体同様茎頂分裂組織が欠失し、本葉2枚展開した段階で生長が停止する様子が観察された。このことから、WUSはCLS1に対して遺伝学的に上位にあることが示された。 2.cls1 clv1、cls1 clv2、clv1 clv2、clv1 clv2 cls1各二重変異体、三重変異体を作出し、茎頂分裂組織の表現型を観察した。その結果、単一変異体、二童変異体、三重変異体の順に茎頂分裂組織のサイズは大きくなり、三重変異体はclv3単一変異体とほぼ同レベルの茎頂分裂組織をもっていることが明らかとなった。このことから、CLV1、CLV2、CLS1はCLV3のシグナルを伝達する3つの独立な経路であることが示唆された。 3.cls2突然変異体はFOX lineを用いたスクリーニングにより、CLV3ペプチド耐性を指標にとられた変異体である。cls2は単一劣性変異体であり、マップベースクローニングの結果その原因遺伝子は第2染色体の下腕約230kbの領域に存在することが明らかとなった。この領域内に既知のCLV3ペプチド耐性変異体の原因遺伝子は報告されておらず、新規の遺伝子である可能性が高い。今後はマップベースクローニングを進めるとともに、原因遺伝子の特定を目指したい。
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