研究課題
「磁気圏深部領域での新たな爆発的磁気リコネクション発生機構」に関する研究成果地球周辺の宇宙空間には、太陽から吹き出す高速の磁場・プラズマの流れ(太陽風)が地球に到達する。太陽風は地球固有の磁場の存在によって直接的に地球へ吹き付けられない。地球磁場が支配的な領域を地球磁気圏と言う。地球磁気圏の深部では太陽風由来の磁場エネルギーが蓄積される領域(プラズマ層)があり、間接的に地球磁気圏内部に太陽風エネルギーが注入される。プラズマ層内で発生する、磁力線再結合(磁気リコネクション)過程が発動すると、地球磁気圏尾部で爆発的なエネルギーが解放されることが知られている。しかし、その条件(トリガー問題)を系統的に調査した研究は過去になかった。本研究は、トリガー問題の系統的な調査を大規模数値計算で行い、その本質的メカニズムを解き明かすことを目的とした。トリガー問題の一つとして、磁気リコネクションの、プラズマ層の厚みに対するレスポンスがある。プラズマ層がある程度分厚くなると、磁気リコネクションそのものは発生するものの、爆発的なエネルギー解放が不可能になることが知られている。爆発的エネルギー解放不可能性を克服するメカニズムを探すため、独自の視点で大規模計算を行った。本計算の特色は、電子温度非等方性のみならずイオン温度非等方性を考慮したことにある。このような計算の結果、非常に分厚い電流層であっても、イオン温度非等方性の存在によって磁気リコネクションの爆発的発生が復活し、さらに最終的なエネルギー解放量も増加させることに成功した。本研究が解き明かしたことをまとめる。『イオンスケール電流層中で大規模な磁気リコネクションをトリガーさせるには:(1)空間3次元性によって生じるLower-hybrid drift不安定性(2)イオン・電子温度非等方性の存在、が必要である。』
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Future Perspectives of Space Plasma and Particle Instrumentation and International Collaborations 1114
ページ: 15-20
http://sprg.isas.jaxa.jp/researchTeam/spacePlasma/whatsSpacePlasma.html