研究概要 |
本研究では、外来捕食者と生息地改変の複合的な影響を明らかにすることを目的とし、20年度は主に解析のベースとなる在来生物の分布調査と森林伐採履歴や林道開設状況のデジタル化を行った。 1.ヘリグロヒメトカゲの広域ルートセンサス: 奄美大島のおよそ半分の面積(約300km^2)において調査ルートを設置し、ヘリグロヒメトカゲのルートセンサスを行った。調査地域は、様々な林齢、マングース密度の地域が含まれるため、両影響を検出しやすいと考えられる。マングース駆除従事者の協力もあり、トータルで1,000kmほどのルートで調査を実施できた。 2.環境情報のGISデータ化: 国有林、民有林の林班図を人手し、その情報をGISデータに変換した。奄美大島の7万ほどの小班のデータがデジタル化されたことになる。また、新しい林道や私道など地図に掲載されていない林道情報や、10mメッシュでの標高情報なども収集し、GISデータとしてまとめた。 3.その他: マングースの体重と最大捕食量の関係を飼育実験により明らかにした。これはマングースの捕食摂取量推定に必要なデータであり、これにより在来種への影響の定量化が可能になる。また、今回明らかにした体重と摂取量の関係は、同様のデータが全く存在しないイタチやオコジョなど、他の多くの侵略的外来捕食者にも適用できると考えられる。この結果は現在Biological Invasions誌に投稿中である。
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