採用第三年度目は、これまでの研究成果に基づいたフィールドワークを実施し、博士論文執筆のための準備を完了することを目指して研究を進めた。ロシア国立人文大学の協力を得た上で、ロシア連邦・ヴォルゴグラード州において2010年6月20日から7月3日まで、サラトフ州において10月1日から10月22日まで、サマーラ州において10月23日から11月14日まで、ウリヤノフスク州において11月15日から12月5日まで、計11週間にわたり、インタビュー・資料調査を中心としたフィールドワークを実施、地方レヴェルの経済政策・社会福祉政策と政党政治の関連に主眼をおきながら各地方の政治状況に関する資料・情報を収集した。その間、ヴォルゴグラードにおけるフィールドワークの成果を踏まえ、スウェーデン・ストックホルムで7月に開催された第8回国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)世界大会において、"The Dissolution of the Soviet Social Contract? Welfare Politics in the Regions of Post-Soviet Russia"と題した学会報告を行い、与党による社会政策と選挙民動員との関連の考察を試みた。これらフィールドワークや学会報告の際、モスクワ・各地方の研究者や、英米圏で活動する研究者との交流の機会を持つことができたのは非常に有意義であった。一連のフィールドワーク終了後、12月上旬に日本に帰国し、現在は博士論文の執筆に本格的に取り組んでいる。3年間にわたり取り組んできた研究・資料収集の成果を踏まえ、博士論文を書き上げることが当面の課題となる。
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