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2010 年度 実績報告書

20世紀アメリカ合衆国におけるピッチクラス・セット理論をめぐる音楽理論史研究

研究課題

研究課題/領域番号 08J10287
研究機関東京芸術大学

研究代表者

日比 美和子  東京芸術大学, 大学院・音楽研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード音楽理論 / 音楽分析 / アメリカ合衆国 / ピッチ・クラス・セット理論 / 無調音楽 / 変換理論 / 新リーマン理論
研究概要

本年度は、第1に、戦後の北米におけるピッチ・クラス・セット理論が、ほぼ同時代に展開されたそれと強い結びつきのあるシェンカー分析、変換理論、新リーマン理論、クランペンハウアー・ネットワーク、といった分析方法と、どのように互いに関係しながら理論的に展開されてきたのかを明らかにした。まず、ピッチ・クラス・セット理論及びクランペンハウアー・ネットワークと、シェンカー分析との関係について、階層構造及び多層構造の点において類似性が見られることを明確にした。また、ピッチ・クラス・セット理論とシェンカー分析との関係についてはイデオロギーの排除・中立的な理論である点において、変換理論とシェンカー分析の関係については変換理論の一部とシェンカー分析が持つ中景構造の意識という点において類似性を指摘することができた。(東京藝術大学音楽研究科、音楽文化学論集において発表。)さらに、新リーマン理論において跳躍を含む理論が異なるセット・クラスの比較を可能にしたことが、ピッチ・クラス・セット理論の弱点を補う結果となったことを明らかにした。第2に、ピッチ・クラス・セット理論を含め、上記のポスト調性理論(シェンカー分析を除く)のいくつかがそれ以前の音楽分析の手法とまったく異なるものとして見なされやすいことに対して、それらが西洋の理論の伝統に根ざしていることを示した。たとえば、新リーマン理論と調性理論の関係については、新リーマン理論におけるスライドSLIDEという概念とロシアにおいて調性音楽及び無調音楽分析の分野で用いられてきた共通三度という概念との類似性が挙げられる。ピッチ・クラス・セット理論とそれ以前の理論との関係については、組み合わせ可能性、Z関係、セット、音程の視点から19世紀後半及び20世紀初頭の著述家が発表した方法との類似性を指摘した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] スモール・スケール及びラージ・スケールによるA.シェーンベルクの十二音音楽の分析2011

    • 著者名/発表者名
      日比美和子
    • 雑誌名

      メディア・記号.芸術

      巻: No.3 ページ: 102-116

  • [雑誌論文] 日本における西洋音楽研究への提言-アメリカ合衆国における音楽学との比較から-2011

    • 著者名/発表者名
      日比美和子
    • 雑誌名

      電通育英会大学院奨学生研究報告集

      巻: 第4号 ページ: 112-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 北米におけるシェンカー分析とピッチ・クラス・セット理論の展開-差異、相似、相互関係2011

    • 著者名/発表者名
      日比美和子
    • 雑誌名

      音楽文化学論集

      巻: 第1号 ページ: 45-54

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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