研究課題
本年度前半は、N=1超対称ゲージ理論における双対性の研究を行った。瀧雅人氏、寺嶋靖治氏、八木太氏(京都大学基礎物理学研究所)と協力して、近年発見された共型対称性を持つN=2超対称クイバーゲージ理論における双対性を利用し、様々なN=1超対称ゲージ理論における双対性を発見した。この双対性はこれまでは全く異なると思われていた理論どうしの双対性であり、超対称ゲージ理論の非常に興味深い特徴を表している。また、糸山浩氏、湊彰史氏(大阪市立大学)と協力して、自発的にN=2からN=1に破れた超対称性に伴う南部・ゴールドストンフェルミオンに関する低エネルギー定理を発見した。本年度後半は、近年発見されたN=2ゲージ理論と2次元共型場理論、行列模型との関係に対する研究を行った。江口徹氏(京都大学基礎物理学研究所)と共同で、log型の作用を持つ行列模型を調べた。ここでは行列模型のプラナー極限をとることで、スペクトル曲線としてSU(2)ゲージ理論のサイバーグ・ウィッテン曲線が得られることや自由エネルギーがプリポテンシャルと同定できることを示した。また、糸山浩氏、大田武志氏(大阪市立大学)と共同で、上記の行列模型のSU(n)ゲージ理論への一般化を調べた。SU(n)ゲージ理論に対応するものとして、n-1個の行列からなるクイバー行列模型が予想されていたが、我々はこの行列模型のプラナー極限でのスペクトル曲線が、一般的にSU(n)ゲージ理論のサイバーグ・ウィッテン曲線と同じ性質も持つことを示した。これらの研究は、log型の作用を持つ行列模型がプラナー極限でゲージ理論の結果を含んでいることを示しており、以後の発展に大きな影響を与えている。
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Nuclear Physics B 830
ページ: 1-16
Journal of High Energy Physics 1002, 022
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