次年度以降の「近代建築修復の技術知識基盤の体系化」に向けて、平成20年度の目的は海外先進国における修復の方法論・制度および事例についての概要を把握すること、また国内における近代建築修復の現状を把握することであり、以下の手順により研究を進めた。 (1)日本の伝統的建物に関する修復制度の把握、および国内で手に入る文献を用いてフランスやドイツ等欧州の修復制度に関する文献調査を行った。また近代建築修復に関する海外刊行の技術文献の収集整理を行った。 (2)国内における近代建築修復事例リストの作成を行った。具体的には、重要文化財指定の建物における修復の有無、また登録文化財や非指定建物を改修専門誌等から抽出し、修復事例のリストを作成した。 (3)スペインのバルセロナを対象とし、修復の方法論・保存制度・アーカイブ・教育に関して公的機関に対するインタビュー調査および関連資料収集を行い、その実態を把握した。また、バルセロナにおける修復事例リスト作成及び事例調査(図面採集、現地視察)を実施した。 (4)国内における近代建築修復事例調査を行い、その実態と課題を把握した。具体的には、戦前に建設された近代鉄筋コンクリート造建築および近代木造建築再生事例を対象とし、図面採集および設計者に対するインタビュー調査を行った。
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