研究概要 |
平成20年度の本研究員の実績は次の3点にまとめることができる。1、ワークショップ「映像と人類学II:映画的経験をめぐって」(平成20年6月21日から同年7月30日の間に計5回の講座を一橋大学で開講)を責任者として企画し、開催した。2、エチオピア国ハラール市で開催された国際ワークショップ「Preserving local knowledge in the Horn of Africa:Challenges and prospects for collaborative research in oral literature,music and ritual practices」(2008年9月17日から18日)に参加し、口頭発表を行った。発表題目は「Making pilgrimage to Ya'a-filmmaking as a collaborative work between filmmaker and the subject」。3、エチオピア国中央部及び東部のオロモ社会で現地調査を実施した。平成20年9月10日から翌年2月10日までエチオピア国東ショア地方及びアルシ地方に滞在したうえで、当該地域で行われる参詣儀礼に同行し、参与観察及び民族誌映画の撮影を行った。本研究員が当調査の拠点とした東ショア地方ボリ村では、特定の日に宗教集会が開催されており、そこでは病、貧困、人間関係といった悩みを告白する村住民と、精霊に憑依された霊媒師との対話によってそれが解決へと導かれていた。当該村住民の多くが精霊への納税、奉仕としてアルシ地方の聖地ファラカサヘの参詣を行っているなど、当該地域で広くみられる精霊信仰と参詣儀礼との間に密接な関係があることがわかった。
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