低分子量G蛋白質はGDP結合型からGTP結合型へ構造を変換し、シグナルを伝える分子スイッチとして多様な生理応答を制御している。申請者が着目するRab45は既存のG蛋白質と異なり、G蛋白質Rabドメインに加えて、カルシウム結合EF-handドメイン及びコイルドコイルモチーフをもつというユニークな構造を有する。 これまでに、HeLa細胞におけるRab45と各種オルガネラマーカーとの共染色から、Rab45がリサイクリング経路やエキソサイトーシス経路に関与することが示唆されたが、Rab45による小胞輸送の制御機構および生理的役割の詳細は不明である。 本年度は以上をふまえて実験を行い、以下に示す知見を得た。 1COS-1細胞においてはゴルジ体がリング状構造(ゴルジリング)として観察され、その内側にリサイクリングエンドソーム、外側に初期および後期エンドソームが分布することからエンドソーム類の識別が容易である。このCOS-1細胞にRab45を発現させて細胞内局在を観察したところ、Rab45の大部分はゴルジリング内の膜構造に局在した。これよりRab45が主にリサイクリングエンドソームに局在し、その機能を発揮することが示唆された。 2リサイクリングエンドソームにおけるRab45の機能を明らかにするため、COS-1細胞においてRab45の発現抑制を行い、リサイクリングエンドソームを介したトランスフェリンの輸送に対するRab45の影響を検討した。その結果、Rab45の発現抑制によって細胞内に取り込まれるトランスフェリン量が減少することを見い出した。今後は、この原因を追究していきたいと考えている。
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