研究概要 |
本研究では,プロジェクタによって映像を現実空間に融合提示する拡張現実感インタフェースの構築を目標とし,本年度は,映像と現実空間とのインタラクションを行うインタフェース『Twinkle』の開発,及び再帰性投影技術を用いた裸眼立体ディスプレイ『RePro3D』の基本構造の設計・試作を行った. Twinkleは小型のプロジェクタを使用したARインタフェースである.プロジェクタで照らした物体をカメラによって認識し,物体の形や色,及びユーザの動きに応じた音や映像をリアルタイムに生成する.デバイスは小型プロジェクタ,カメラ,加速度センサからなる.カメラで取得した画像をリアルタイムに解析することによって,ユーザの動き,投影面とデバイスの距離,投影画像と実物体との衝突,物体の色や形などを認識する.Twinkleを用いたアプリケーションの一例として,キャラクタを操作するゲームインタフェースを実装し,国内外の展示会で技術展示を行い,数百人の来場者が体験した.その結果,多くのユーザが本インタフェースを直感的に使用出来ることが示された. 続いて,バーチャルな触覚提示と等しい位置関係を保った立体映像提示を行うことを目的として,物体投影型の3次元視覚ディスプレイ『RePro3D』を提案し,光学系の試作を行った.再帰性反射材をスクリーンとしてプロジェクタアレイにより視差映像を投影することで,運動視差を有する裸眼立体映像を提示することができる.まず,LCDの表面に投影レンズをアレイ状に配置したプロジェクタアレイを構成する光学系を設計し,各視点画像の連続性が保たれる光学パラメータを実験的に明らかにした.その結果,隣り合うレンズ間隔を12mm~16mmにすることで連続的に視差画像を提示できることを示した.さらに,9視点に対して視差画像を提示する光学系を試作し,実際に立体映像が提示可能であることを確認した.
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