研究概要 |
本研究では、セラミックス中の拡散をキーワードとして、材料中の主成分元素の拡散である自己拡散、材料に機能を賦活させる添加元素の拡散に関して研究を進めている。当該年度は、主に米国ケースウエスタンリザーブ大学にて^<18>O、^<26>Alを用いたアルミナ中の自己拡散の包括的な研究を行った。 ^<26>Alは放射性同位体であり、かつ非常に高価であるため、限られた量、フォーム(総量0.13mg,^<26>AlCl_3の塩酸水溶液)の^<26>Alソースを用いて効果的に実験を行う手法の開発を行った。その結果、現在は拡散測定を行うのに十分な濃度の^<26>Alを試料表面中に塗布すること、酸素との分離が難しい塩素を効果的に除去することに成功した。今後は、滞在期間中に単結晶、多結晶、双結晶を用いた180、26Al同時拡散試料における拡散挙動解析を行う予定である。また、^<18>O拡散に関してはTOF-SIMSを用いた粒界拡散の3次元イメージングに成功した。これは多結晶中に無数に存在する粒界のうちの特定の粒界の拡散挙動を測定可能にするものであり、現在EBSD法による粒界の結晶方位関係やサーマルグルービング法を用いて測定した粒界エネルギーと拡散挙動の相関を明らかにする目的で研究を進めている。さらに、LEAP(局所電界型アトムプローブ)による原子分解能での^<18>Oの分布測定にも成功している。今後は、この手法を用いて多結晶や双結晶中の粒界拡散の測定を行うことで、これまでは完全にブラックボックスとして扱われてきた粒界拡散の有効幅や粒界から粒内への方向への原子拡散などを評価していく予定である。
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