昨年度は、以下の研究活動を行った。 本研究は地域研究の中でも人類学の手法を中心として長期の現地調査に基づいて成果を出すことを予定しているため、長期の現地調査を二年目に行うこととして、一年目はその準備作業に取り組んだ。 具体的には、まず、本研究分野の関連する文献のサーベイを広範に行い、現時点での既存研究の到達点を確認するとともに、そこにおいて残された課題と研究員自身の研究内容の位置付けがどのようであるかを見極める作業を行った。これは、アンデス高地部における先住民運動の展開、ペルー及びボリビアの農村の先住民の生活、特にボリビアにおけるオーラル・ヒストリーの手法の展開、アンデス地域における国際機関及び各種NGOによる先住民に対する支援などの分野にまたがったサーベイを行った。 次に、8月に現地を1ヶ月訪問し、現地の共同研究者と次年度に向けた研究に関し、調査地、訪問先、調査手法などについての打ち合わせを行うとともに、本件に関連する諸機関から次年度の受け入れ可能性の確認を取り、また現地での文献収集を行った。 最後に、本調査はアンデス先住民言語(ケチュア語及びアイマラ語)の一定の知識を必要とするため、現地滞在時を中心として以前から取り組んでいたアンデス先住民言語の研鑽に継続して取り組んだ。 これらの調査・研究は、特別研究員採用以前からの研究活動との密接な関連の中で行い、これらの研究成果をまとまった論文の形で公表することができた。 これらを総合すると、初年度の研究活動は研究奨励金を十分に活用して成果を上げることができたと考える。
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